グレインフリー(穀物不使用)のドッグフードを推奨しているメーカーが多いですが、愛犬に穀物は必要ないのですか?
祖先が野生のオオカミといわれる犬は、本来は肉食の生き物です。
オオカミの唾液には穀類を消化する酵素が含まれておらず、それゆえに犬も穀物の消化吸収が苦手といわれてきました。
しかし実際は、人間のパートナーになった犬は身体的に進化し、穀物の消化吸収ができるようになったと科学的に証明されています。
穀物アレルギーの場合を除き、決して「犬に穀物を与えてはいけない」わけではないのです。
世界最先端の栄養基準であるFEDIAFも用いてペットたちの食事を考えるヨーロッパ、とりわけペット先進国といわれるドイツでは、現代の犬たちは肉食性ではなく雑食性と考えられています。
肉・魚、野菜、穀物をバランスよく食べるのが理想的とされ、腸内環境を整える食物繊維やビタミン、ミネラルを含む良質な穀物は、適度に必要なのです。
穀物アレルギーの愛犬に与えたり、急激に穀物の量を増やしたりする必要はありませんが、「犬にとって穀物は大切な栄養源である」という認識をもつことは大切だと考えられます。
また諸説ありますが、アメリカから広まったグレインフリーという概念には、アメリカの穀物不足が関係しているという話があります。
アメリカでは、数年前から、猛暑による大干ばつで農作物に深刻な被害が広がっています。
穀物の不作に伴い、小麦やトウモロコシ、大豆などの価格は高騰。さらにバイオエタノールの原料としてトウモロコシの需要が激増したことも、穀物不足に拍車をかけています。
穀物の摂取を控えるグレインフリー市場が急激に拡大した背景には、こういった事情が関係しているという意見もあるようです。