仲睦まじい猫たちの仲間に入りたい

わが家に仔猫がやってきた。新入りはかわいい顔をしているけれど、
性格はかなりやんちゃなようで、おもちゃを出せば楽しそうに遊ぶ。
少しずつ環境に慣れてきたのか、仔猫の興味は次第にケージの外の世界へ。
行動範囲も広がってきたタイミングで、そろそろ先住猫に会わせてみようかと
お見合い作戦がスタートした。

先住猫はおっとりした性格で、一度だって声を荒げたことがない。
そんなやさしい猫だから、新入りとのお見合いもきっとうまくいくと思ったけど、
現実はそう簡単ではなかった。
仔猫を見て驚いたのか、真っ先にうなり声を上げた先住猫。
仔猫も自分より大きな猫が目の前に現れたので（しかも、怒っている！）、
尻尾の毛まで逆立てる。
一触即発か！？
2匹の険悪な様子を見て、私はおろおろするばかり。
初めてのお見合い作戦は完敗に終わり、
さすがに気持ちは落ち込んだが、まだ初日だと自分を励ました。

その後は焦らず、少しずつ合わせる時間や回数を増やして距離を縮めてもらう。
最初に慣れてきたのは仔猫の方だった。怖いもの知らずとはこのことか。
ケージの中から先住猫に向かってちょいちょいと手を出してくる。
そのたびに先住猫がたしなめる。
そんなやりとりを繰り返す2匹を見て、ふと気づいた。
「ん？これはじゃれあっているのか？」
仔猫はきゃっきゃっとはしゃいでいるように見えるし、
先住猫もまんざらでもなさそうな顔をしている。
そこでケージの扉をそっと開けてみると、一目散に先住猫に向かって走る仔猫。
そんな仔猫をかわそうと踵を返す先住猫。そこをさらに仔猫が追いかける……。
ドタバタドタバタ、ドタバタドタバタ……。

「なんだ、仲良しじゃん」
2匹が鬼ごっこする様子を見ながら、私はほっと胸をなでおろした。

今日も春の兆しが漂う窓辺に寄り添う2匹の猫たち。
その仲睦まじい姿を見て「私もその仲間に入りたい！」と思わずにはいられない。