猫の気まぐれに翻弄される

猫は気まぐれというけれど、一緒に暮らすようになって実感することばかりだ。
わが家には2匹の猫がいるのだけど、性格は全然違う。
それが余計にややこしいのだが、
猫飼いはそんな猫の気まぐれさえも愛おしく思うのだから困ったものだ。

この間も迷いに迷ってようやく猫用グッズを買ったのだが、
残念ながら、そういったものほど見向きもされない。なぜだ。
かわいい猫用ベッドも、おしゃれな爪とぎも、かっこいいキャットタワーも、
何もかもが“お茶を引いている”。
そうなのだ、彼らのお気に入りはいたってシンプルなのである。
少しくたびれた段ボール箱に入り、ソファや廊下の壁で爪を研ぐ。
そして、カーテンに飛び乗って降りられないと鳴きだす。
明らかに体のサイズと合っていない靴の空き箱や
子どもたちの運動靴の上で寝ていることもある。
すぐ近くにふかふかのかわいい猫ベッドがあるのに……。

そのくせ、彼らは目新しい物にすぐ興味を示す。
今日も宅配便のお兄さんが届けてくれた段ボール箱の中身が
気になって仕方がないようで、その周りをくるくると回って『早く開けろ』と主張する。
あなたたちの好きな物は入っていないんだけどなぁと思いつつ、
段ボール箱を開けると、中身には一切興味を示さず、
とにかく新しい段ボール箱に早く入ろうと2匹の小競り合いが始まるのだ。

猫たちの気まぐれはご飯のときも発動する。
あんなにお気に入りだったフードも1週間もすればそっぽを向き、
時々思い出したかのようにダラダラと食べる。
ようやく彼らの嗜好を満足させるフードを見つけたときは、
思わず、ガッツポーズしたものだ。
今は、同じご飯なのに『そっちの方が美味しそう』と、
相手のボウルに顔を突っ込むのを防ぐだけでよくなった。

いやいや。猫ってやつは本当に気まぐれだよ。
でも、これもわが家が猫ファーストだからこそってことだよね。