食いしん坊な猫がとった奇策

我が家の猫は食いしん坊だ。
普段は名前を呼んでも知らんふりなのに
「ご飯だよ」と声をかけると
大きな体を揺らしながら一目散に駆けつけてくる。

ご飯は1日2回。
朝と夕方にあげるのだけど
すぐにお腹が空いてしまうのか、
いつも予定の2時間くらい前からソワソワしだす。
特に朝はまだ夜もあけていないうちから枕元にスタンバイし、
日の出とともに一心不乱に私の枕をかきむしる。

ホリホリホリホリホリホリホリ……。

まだ朝の4時じゃないか！！
ここで起きてしまうと要求はますますエスカレートしてくるので
私はひたすら我慢する。
頑なに目を開けない私にイラついたのか、
猫の打ってきた次なる手段は、
私の口の中に毛むくじゃらの手を入れるという、奇策だった。

！！！！！！！！！！！！！！！？

これには、さすがに飛び起きた。
猫はいとも簡単に人間を操る恐るべき生物であることは
知っていたが、まさか、ここまでやるとは……。

白旗を上げた飼い主をキッチンへと誘い、
大盛りの朝ごはんに勝利を噛みしめる猫。

「ムシャムシャ、ムシャムシャ」

薄暗いキッチンに響く
猫の満足そうな咀嚼音を寝ぼけ眼で聞きながら、
ああ、今日も元気でいてくれて、ありがとうって思うよ。