今年もたくさんの幸せを運んでくれた猫

一気に肌寒さが増した今日この頃、猫が布団で過ごす時間も格段に長くなった。
もはや朝の日課になりつつあるが、
私は目が覚めると枕元で寝る猫の匂いをそっと嗅ぎ、
冬毛を纏った猫の体に静かに顔をうずめる。
鼻をくすぐる毛がこそばゆいが、呼吸に合わせて上下する猫の温かな体に触れると、
たまらない幸福感に満たされる。
大好きな猫との暮らしは、
このような小さな幸せが日常のふとした瞬間に幾度も幾度も訪れるのだ。

猫ってこんなにかわいい動物だったんだな、なんでもっと早く知らなかったんだろう。

だけど、それは仕方ない。
私の両親は動物嫌いだったから、子どものころは猫も犬も飼うことができなかった。
学校の帰り道、たまたま捨て猫と出会っても飼うことは許されず、
ほかに飼ってくれる人を探したこともあったなあ。
大人になり、一人暮らしを始めたときは絶対猫を飼うと心に誓ったものの、
なかなかその機会に恵まれず、半ば諦めかけていたとき、その時がきた。
なんと、結婚と同時に仔猫を家族に迎え入れることができたのだ。

最初はやんちゃな性格に手を焼いたこともあったけど、
それでも私の膝の上で無防備に寝る姿を見ていると、
一日の疲れも吹き飛んだし、何より心が穏やかになった。
その1年後には家族がもう1人増えたけれど、
猫は大きな声で泣く弟分をやさしく見守ってくれた。
今は弟分も大きくなり、反対に猫はすこし小さくなったけれど、
愛らしさは一向に衰えることはない。
今日もちょっぴりハスキーな声で「ごはんはまだ？」と寝起きの私に訴える。

この小さな幸せがずっとずっといつまでも続くことが、
年老いた猫と暮らす私の唯一の願い。
いつまでも愛らしい姿でそばにいてね。