猫との出会いは人生最高のプレゼント

朝、新聞を取りに行こうと玄関のドアを開けるとそこに1匹の猫がいた。私と目が合い、逃げるかと思ったら、そのまま大きな声で「にゃお~ん」とひと鳴き。

「え？え？」

戸惑う私などお構いなしに、猫はドアの開いたすき間からぐいぐいと中に入ってきた。

「ちょっ、ちょっ、どういうこと？！」

呆気にとられる私の横を通り過ぎ、そのまま家の奥へ奥へと進んでいく。そして、「お前も早く来い！」といわんばかりに後ろを振り返った。

これがわが家の猫との出会い。

今でもなぜ彼（オス猫だった）がわが家にやってきたのかはわからないが、人を怖がるわけでもなく、トイレもパーフェクトだったので、もしかしたら、誰かに飼われていたのかもしれない。だから、迷い猫の可能性もあるかもと考えて、近所を始め、いくつかの施設に尋ねてみたけれど、情報は一つもなかった。

私たち家族は覚悟を決めた。彼はきっと「この家がいい」と思ったのだ。だったら、好きなだけいさせてあげよう。解けない謎に頭を悩ますよりも、ともに暮らす楽しさを優先したほうがいいに決まっている。

それから、彼はわが家になくてはならない存在になった。彼の行動一つひとつが愛おしくて、笑いが絶えない。落ち込んだときは傍らで慰めてくれるし、私たち家族を包み込む彼の大きな優しさは何ものにも代えがたい。

今日も美味しいご飯をたらふく食べたら、お気に入りの窓辺に行き、春の暖かな日差しを受けながらスース―と寝息を立てている。

彼との出会いが神様のちょっとした“いたずら”だったとしても、わが人生で最高のプレゼントであることは間違いない。