犬や猫とともに
季節の移ろいを楽しむ

ジリジリとした陽射しはすっかり影を潜め、季節は確実に冬へと近づいている。
ひたひたと歩みよる冬の足音を耳にしているのは、
人間だけではなく、動物たちも同じようだ。

夏の間は玄関やお風呂場で寝転がっていた猫たちは、
早くも絨毯や布団の上に場所を変え、身体を寄せ合ってぎゅっと丸くなって寝ている。
そういえば、枕元で盛んに繰り返された朝ご飯の催促も、
少しずつ時間が遅くなっているようだ。

季節の移り変わりをしみじみと感じていると、
傍らで犬たちがそわそわしはじめた。
夏は暑さを避けて早い時間に散歩に出ていたので、
そろそろ散歩じゃないの？と期待を込めた目を向けてくる。
そうだね、本格的な冬を迎える前に、この季節ならではの散歩を楽しもう。

いつもの散歩道。この季節は足元で落ち葉がさくさくと軽やかな音色を奏で、
時折、真っ赤に色づいた落ち葉が風で舞い上がる。
犬たちがそれを嬉しそうに追いかけるので、
落ち葉ははしゃぐ彼らの動きに合わせてさらに上へと舞い上がる。
犬たちの楽しさがリードを通して私にも伝わってくるよ。

たっぷり遊んで少し汗ばんだ私の額を心地よい秋の風がすっと撫でていった。
河原のススキの穂も風に身を任せ、一斉にそよぎ始める。
いつもの見慣れた光景だけど、
この季節の散歩はやっぱり気持ちいいなあと思いながら帰路に着くと、
家の2階の窓辺で猫たちが日向ぼっこしているのが見えた。
ひと目も憚らず、猫たちに向かって大きく手を振り、声をかける。

『おーい、おーい』

私の声に気づいたのか、猫たちはむっくりと起き上がって窓辺に顔を寄せた。
窓越しにちょこんと佇む猫たちの姿を見て、思わず、かわいいなあと声がこぼれる。

私のすぐ近くには、毎日を幸福感で満たす、
かわいくてかけがえのない存在がいる。
それが何よりも嬉しくて、その幸せを噛み締めた秋の日だった。